この記事では以下のようなことで悩んでいる方のための内容となっています。
欧米では提案活動についての「プロポーザルマネジメント」という方法論が確立されれおり、グローバルスタンダード化されつつあります。
この記事では、アメリカを拠点とするNPO法人APMP(Association of Proposal Management Professionals)が定義したプロポーザルマネジメントのメソッドをベースに記載している以下の書籍を参考にしています。
ちなみに私もAPMP日本支部の会員となっています。
本メソッドは組織としての提案力の強化の内容となっていますが、個人での提案でも執筆のテクニックなどは参考になると思います。
顧客から提案依頼書(RFP)を受領してからの進め方は以下となります。
それなりの規模の商談の提案をする場合は、いきなり提案書を作成するのではなく、まずは提案書作成計画(プロポーザルマネジメントプラン)を作成します。
これは、提案にかかわる全てのメンバーが共通認識を持つことで、提案書の品質向上、作業の効率化、手戻りの削減を図るために実施します。
具体的には以下の内容を計画します。
まずは提案を中心になって行う「プロポーザルマネージャー」を決めます。
プロポーザルマネージャーは提案書作成の責任者になります。
提案書作成の進捗管理やレビュー日程調整もプロポーザルマネージャーが行います。
その他の役割としては以下があります。
提案の規模によって、一人が兼任することもあります。
◆営業
顧客と最も接点があるため、顧客の課題やニーズを伝えてもらう。
◆セクションオーナー
章単位に提案書の内容に責任を持つ。複数の章を兼任することが多い。
◆執筆者
章単位に提案書を執筆する。
◆技術支援
執筆者に対して、技術的なサポートを行う。
◆見積りオーナー
見積りの内容に責任を持つ。
◆見積り作成者
見積りを行う。通常、アプリ開発、インフラ構築、SW/HW製品の見積りはそれぞれ別の担当となる。
ここでは、提案書作成完了までのスケジュールを作成します。
標準的なスケジュールのステップは、以下となります。
基本的にはRFPの目次を参考に章立てを決めていきます。
RFPにて、提案書の目次を指定されている場合もあるので、その場合は指示にしたがって作成しましょう。
RFPの目次もなく、指定もない場合は、以下のサイトを参考にしてみてください。
章立てが決まったら、次に各ページ毎に何を書くか決めます。
ここではRFPで求められている回答が漏れなく書かれるように計画します。
また、各ページで何を伝えるのか、ねらいは何かを明確にします。
提案書の執筆者がミスリードしないように、なるべく具体的に決めましょう。
ここから実際に提案書作成計画を実行に移す段階に入ります。
提案書作成計画の役割分担にでてくる登場人物をすべて集めて、提案書作成計画を説明して、関係者で情報を共有します。
具体的には、提案のポイント、体制、スケジュール、執筆における注意事項などを説明します。
進捗の管理、提案書の更新方法、コミュニケーションの仕方など細かい内容も決めます。
疑問などがある場合は、この場で全て解消しておきましょう。
いよいよ提案書の執筆となります。
事前に決めた「ページ毎に書く内容」に則って執筆します。
執筆におけるポイントは以下の4つです。
FABE(ファブ)分析とは、Feature(特徴)、Advantage(優位性)、Benefit(利益)、Evidence(証拠)の頭文字をとったもので、提案のコンセプトや訴求方法の分析に使えるフレームワークです。
システム提案でいうと、以下のようになります。
◆Feature(特徴)
サービスや製品の仕様。
◆Advantage(優位性)
他社に比べて優位な点。アピールポイント。
◆Benefit(利益)
顧客にどのような利点があるのか。コスト削減、課題解決など。
◆Evidence(証拠)
上記3つの証拠となるデータ。導入実績など。
要求条件適合一覧表は、RFPで求められている要求が満たされているかを一覧形式でチェックできる内容になっています。
それぞれの要求に対して、適合性、実現方法、提案書の記載箇所などを記載します。
社内レビュー時のチェック項目としても利用できるし、提案書を評価する顧客側も一目で要求事項を満たしているかを確認できます。
SEが書く提案書は、自社のサービスや製品の良さをアピールしがちですが、顧客からすると押し売りされているような気がします。
重要なのは顧客目線になっているかで、顧客の課題や要求がどのように解決されるのか、顧客にとってどのような利益があるのかを表現する必要があります。
この観点がない提案書は、いくら良いサービスや製品を提案しても、顧客の心はつかめません。
複数人で提案書を作成する場合、フォーマットを決めておかないと、フォント・色・デザインなどがバラバラとなり、統合したときに様式を合わせるのに非常に手間がかかります。
そうならないために、執筆前にドキュメントのフォーマットやガイドラインを作成します。
パワーポイントの場合は、コーポレートカラーなどでのいくつかのパターンのテンプレートを事前に作成しておきましょう。
無料で提供されているテンプレートも、ネットで多数ヒットするので、探してみてはいかがでしょうか。
提案書の執筆が終わったら、スケジュールで計画したタイミング、レビューアーにてレビューをしましょう。
主なレビュー観点としては以下があげられます。
さらに提案の勝率を上げたいのであればでは、RFPをもらう前の活動も重要になります。
顧客がRFPを出すきっかけの提案を事前にすることで、提案活動を非常に有利にすすめることが可能です。
いわゆるシステム企画のフェーズを顧客と一緒に実施するイメージです。
自社の強みある領域へ誘導することもできますし、顧客の課題やニーズを把握することで様々な提案ネタを入手することができます。
この活動でのポイントは以下の4つになります。
提案書の内容を効果的に書くのは重要ですが、それをより効果的にするには、顧客の情報やニーズを日々収集・把握しておくことと、顧客のキーパーソンと良好な関係を築くことだと思います。
これは営業の日々の努力になりますね。
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